南正時の湧水名水絵日記

2015年1月の水の旅です

■あけましておめでとうございます。新年の湧水
2015.1.2
　年末年始は年こもりで原稿執筆でしたので2日は運動不足解消のため散歩。近くの「ママ下湧水」を訪れました。比較的穏やかな天気とあってママ下の野道をあるく夫婦連れなども多く見られました。今回訪れて気がついたのですが、ママ下湧水の自然を破壊して作った「立派」な道路が「いずみ大通り」というそうで標識が新調されていました。「甲州街道から都営泉アパートを経由して府中市境までの泉地域を縦断する道路です。・・市民の公募から名がつけられました」とありました。都や国立市は、なんら反省どころか逆キレ状態だと思いました。

相変わらず大湧水の様相。春の小川となって流れる。自然環境の変化にもママ下の中腹から湧き出る水。この標識は私には「しらじらしい」。

■そろそろ減少傾向、新次郎池
1/4
　正月返上で原稿執筆で運動不足。午後から東府中から武蔵小金井行き路線バスに乗り「貫井トンネル下」で下車。野川に沿って貫井神社へ。初詣の姿も見られましたが、私は神社の参拝はしません。初詣は「古刹」だけです。ここの湧水量は相変わらず多く、湧出口には新しい注連飾りがありました。「新次郎池」は落葉が池に漂って、堰を越える湧水はわずか。一応池のまわり五か所の湧水を見て回りましたがあきらかに減少傾向でこのまま渇水になるようです。以前、この大学の人に聞いたのですが、池の一角に大きな隙間(穴)が空きそこから大量の水が漏れているとのこと。堰から1m下の穴から漏れた水が勢いよく噴きだしています。「渇水期に修理工事をしなければ・・」と言っていました。国分寺バス停の前の殿ヶ谷戸庭園にも寄りました。人影のない園内に「鹿脅し・ししおどし)の音が響いていました。

貫井神社の湧水は注連縄が張られている。新次郎池はやっと堰を越す水量になったが、五か所の湧水は健在。殿ヶ谷戸庭園の「ししおどし」

■西立川の知られざる湧水
1/6
　今日の散歩は高幡不動から多摩モノレールに乗って立川から青梅線でひと駅の西立川の立川崖線の「富士見緑地」の湧水です。崖線からの石樋から流れる湧水と、民家の裏の崖からの湧水がありましたが、民家のは立ち入り禁止。緑地の湧水もなかなか風情のあるものでした。同じ崖線にある東京農業試験場の崖線からの湧水は、水量も多く湧水池に注いでいました。日中は公開されています。

富士見緑地の湧水、東京農業試験場内の湧水は水量も多い。湧水池の小公園は立ち入り自由。

■冬枯れの雑木林
1/7
　所用があったので八王子からの帰り豊田で途中下車して黒川清流公園に寄りました。この季節、雑木林は葉を落とし湧水がしっかりと見えるので、ある意味では湧水シーズンといえるでしょう。ただし色合いと水量は少ないので写真には不向きかも知れません。冬の陽光を浴びての雑木林の道を歩くのもいいものでした。ただし、黒川清流公園に隣接する崖下の保全地域に工事が入り確認すると中高層の民間のマンションが建つらしいです。環境に悪影響を及ぼさなければいいが。まだ反対運動は起こっていないようです。

東豊田緑地の湧水は源流部にゴミが捨てられていて残念。車からのポイ捨てと地元の人は言っていました。崖線から落葉を巻きこんで流れる。最大の流出部の湧水はその名のとおり清流そのもの。

■板橋へ
1/9　
　今日は午前中に板橋のある大手の印刷所に打ち合わせがあるので向かいました。印刷所の社員食堂でお昼を御馳走になってから、夕方の銀座でのアポまで、西高島平駅から徒歩10分の東京の名湧水57選のひとつ「不動滝」へ向かいました。いつもこの「滝」を見ていると「枯れそうで枯れない・・」という印象ですが、いつもより水量は多いようで数筋の流れで落下していました。都営三田線で志村坂上の小豆沢公園の湧水を訪れました。いつも見過ごす側溝の中に比較的水量が多い湧水を見つけました。あたりは水が染み出す崖が多く、いつもジメジメしています。メインの湧水池に注ぐ湧水は水量変わらず豊富なままでした。

板橋不動の滝、水飛沫を避け滝に近づく。小豆沢公園の側溝に注ぐ湧水。崖の中腹からの湧水と、メインの池に注ぐ湧水。この公園は湧水の宝庫で「湧水群」を形成している。

■子安神社の明神池
1/12
　京王八王子駅バスターミナルから西東京バス暁２１系統、中野団地行きバス10分の東京の名湧水57選「子安神社の湧水」へ行くと、農家の人が採れたてのホウレンソウを洗っていました。夕方に直売所に納品するとのこと。「冷たそうだね」「でもないよ、湧水は15度あるから、むしろ温かいし、寒さでしおれた野菜もここで洗うとシャンとするんだ、もっていくかね?」「えっ、おいくらで・・」「そうだね、ちょっと不揃いでよければ1把100円」「えっ、そんなんでいいの?」ということで４把分けてもらいました。ここ子安神社の湧水は、都内でも最大規模の湧水量を誇り、水質も良く、湧き出し口ではそのまま飲めて、水汲みが多く訪れる。地元の人は正月の若水を汲みにきて、雑煮やお茶に使っているという。その地元の人たちの保全活動と歴史的な価値から「名水百選」の価値は十分にありと思う。東京にもまだこんないい所があるんだとうれしくなりました。

池からの水路は洗い場があり農家の人たちの野菜洗いが行われている。湧き出し口の水は汲むこともできる。

■路線バスの旅
1/13
　新刊本の先行取材のため路線バスであきる野市、秋川方面へ。京王八王子から秋川駅へのバスは日中2時間間隔とチョーローカル。それでも沿線は変化があり楽しめました。油平バス停の前の「千代鶴」酒造は、この辺りの名水仕込みの東京の名酒。酒蔵を見せてもらいました。すぐ近くには名水仕立ての豆腐もあります。秋留野台地の崖下の湧水真城禅寺の湧水を訪れました、本堂の奥左右に二か所の湧水がありますが、湧水量は減っています。駅への途中に白滝神社の湧水にも寄りましたが、ここも渇水に入っているようです。今日はポカポカ陽気なのですが、日陰の水辺に入ると寒さを感じます。この季節、和服の下着は防寒用の肌着は着こんでいて、下帯(褌)も暖かい絹製品を使用しています。「ヒートテックふんどし」といったところですが、やはり冷えます。秋川駅から武蔵五日市へ電車で向かいました。近代的な駅になって終着駅の風情はありませんが、ここでオシマイという「ドン突き」の駅はいいものです。夕方、立川から乗ったモノレールは日没を迎えたので万願寺駅で下車して浅川の堤防に行き「ダイヤモンド富士」を見に行きました。あいにく富士山はモヤにかかって良い条件とは言えませんが、それでも東京から見えるダイヤモンド富士は貴重な体験でした。

千代鶴の中村酒造。白滝神社の湧水、水辺は冷えますが、絹の下帯(ヒートテックふんどし)をしているので暖かいのです。東京から見たダイヤモンド富士。

■灯台もと暮し・・大谷戸の湧水(聖蹟桜ヶ丘)
1/14
　昨年秋に湧水本の地元に住む編集者と歩いた、聖蹟桜ケ丘の「聖蹟」のある都立桜ケ丘公園から市立大谷戸公園を再度散歩。大谷戸は、その名のとおりかつては谷の中に里山があった所で、注視して湧水を集めて流れる「清水渓緑地」の大谷川沿いを原流の湧水からたどると、谷戸の面影が残る湧水、石組の三段井戸の遺構(湧水は健在)や染み出す湧水が各所にみられました。所々には宅地開発にもめげず、まだまだ湧出を続けている湧き水も見つけました。ここは、奥が深い「谷戸」で改めて調査する必要がありです。

大谷戸公園の湧水、オレンジ色は地中の樹木のタンニンが溶けだしたものとか。この地点で別の谷戸からの流れと合流して「大谷戸の池」に注ぐ。この池から「大谷川」となる。竹藪から湧出する様はどこか神秘的ですらある。清水渓緑地の石組みの三段井戸はまだ湧水を湛え現役。

■春近し・・梅はまだかいな。
1/18
　朝刊の折り込み広告に「京王百草園」の蝋梅と日本水仙が見ごろで、園内でフルート演奏会があるというので妻と出かけました。ぽかぽか陽気でお花見には絶好の日和です。我が家から百草園までは順調に行けば徒歩10分ですが、途中に松連坂という心臓破りの坂が待ち受けています。この坂の途中には湧き水が数か所から滲み出て側溝には急な流れが音を立てて流れています。坂にさしかかるところには整備された竹筒による水場が出来ています。園の案内でも「急坂あり覚悟してくるように」とか、聖蹟桜丘駅か高幡不動駅からタクシーと案内しているほどです。少し体の不自由な妻はなんとか登れました。園内にはすでに蝋梅の香りがただよい、水仙と香りを競っていました。フルートコンサートを見て、湧水池のほとりを散策しました。まだわずかながら湧水は健在で、池の水は澄んでいました。再び園内を一回りしてランチを百草園駅前の新装開店ラーメンで済ませました。この前は日本蕎麦屋でした。どっちが儲かるか・・興味あるところです。

松連坂の入口の湧水、園内の湧水池「心字池」。園内の蝋梅と日本水仙は今が見ごろ。

■小仏峠で「あずさ」を撮る
1/20
　スーパーあずさの写真を撮る用事が出来たので、本当に久しぶりに高尾駅から小仏峠方面にバスで出掛けました。我が家から京王線で高尾まで行き、小仏行きのバスで10分あまりで、1時間に1本のバスをうまく捉まえれば30分少しで行けるのです。意外な近さに驚きました。山合いですから風もなく暖かい環境で撮影ができました。蛇滝口バス停で下車すると、すぐ前に水場がありました。前のお年寄りに聞くと川の対岸からの高尾山からの湧水を引いているとのことでした。名前を付けるとしたら高尾山麓からの湧水ですから「蛇滝口の霊水」でしょうか? 「量が少なくなってねぇ」というお宅の前庭には手押しポンプが現役でした。この辺りは水が良いそうで、隣のバス停の前には評判の豆腐屋さん「するさしのとうふ」店がありました。わざわざ遠くから買いに来るそうです。写真を取りながら、墓参りのお婆さんといろいろ世間話をしたり、保線作業中の人と話してダイヤを教えてもらったりと、久し振りにかつての撮影旅行を思い出しました。2時過ぎには陽が落ちてくるので1時間に一本のバスを捉まえて、京王で高尾山口に行き「高尾山の冬そば」を食べに行きました。

峠に挑むスーパーあずさ。蛇滝口の高尾山麓に湧き出る清水。近くには名物の豆腐屋がある。高尾山の冬そばはとろろ蕎麦を食する。

■百草園の湧水
1/24
　我が家から最も近い湧水は徒歩15分の「京王百草園」です。京王線を横断する踏切があれば10分でアクセスできます。この週末は蝋梅が見ごろなので家内と花見に行きました。その帰りに百草園の湧水を確認しました。園内の湧水池にある二つの井戸はほとんど湧水は確認できませんでしたが、池底や回りから少量ながら湧いているとのことでした。百草園に至る急坂の「松連坂」には数か所の湧水が見られました。どれも水量は少ないものですが、集まれは側溝を音を立てて流れています。すぐ山を越えたところに東京の名湧水57選のひとつ「小沢緑地」がありますが、ここは完全にブロックされて水の位置さえ確認できず、住宅地を流れる側溝でしか見ることができません。それよりは百草園の湧水が水量豊かと思いました。

蝋梅は見ごろ、梅もぼちぼち咲き始めた。心字池に注ぐ「頼義公手洗の井」。松連坂の湧水のひとつ沢からの流れと、坂に入口にある湧水の水場。

■新発見?の湧水など
1/25
　川越からの帰り拝島から五日市線で東秋留へ行き、八雲神社と二宮神社、広済寺の湧水に寄ってきました。八雲神社は湧水池も見事ながら、そこから流れる水路も良い雰囲気で、水路に二か所の湧水口がありました。神社のすぐ隣には民家の湧水がありますが、ここは大規模な宅地造成中で、湧水には金網が張られていましたが、池では鯉が泳いでいて、たぶんここは保存されることになるでしょう。二宮神社の「お池」のとなりJRの線路寄りに湧水池を見つけました。これまでメインの湧水に気が取られ気がつかなかったのですが、しっかりとした湧水で、線路の方に延びた水路は勢いよく流れていました。二宮考古館に寄ってから広済寺に行くと境内の日本庭園に石段のある堀抜き井戸があり、湧水口からポンプアップした湧水が手水として使われていますが、すごく勢いのある湧水でした。井戸からの水は道ひとつ隔てた水場に流れ、そこには大きなステンレスの容器があり、ここで洗いモノをしているようです。

八雲神社の水路、手前左に湧水口が見える。隣の民家の湧水。二宮神社「お池」の隣の湧水。広済寺の湧水、石燈楼の下に井戸がある。

■青梅線ブラリ散歩
1/27
　新刊書の取材を兼ねて羽村地区の多摩川に沿って歩いてみました。羽村駅で下車して駅前の史跡「まいまいず井戸」を見て、ハケの途中にある「馬の水飲み場」を経て禅林寺にある中里介山の墓所を訪れました。大河小説「大菩薩峠」は、子供の時に映画で見て以来、中里介山には興味を持っていました。段丘降りると湧き水のある本堂があり、その前の道は羽村堰に通じています。玉川上水の取水口でここも東京の史跡のひとつです。多摩川沿いの道を歩いて一峰院へ行くと、ここは古刹然として山門が荘厳な雰囲気。境内の日本庭園には湧き水がありました。お茶の水として利用されているとのことでした。寺の前から100円のコミニティバスで羽村駅まで行き、八高線経由で帰りましたが、これまで遠いと思っていた青梅線沿線でしたが、八高線などをうまく利用すれば手軽に行けることが分かりました。

禅林寺の中里介山の墓所。羽村堰の取水口。一峰院の清水。お茶の水として利用されているという。

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相変わらず大湧水の様相。春の小川となって流れる。自然環境の変化にもママ下の中腹から湧き出る水。この標識は私には「しらじらしい」。


貫井神社の湧水は注連縄が張られている。新次郎池はやっと堰を越す水量になったが、五か所の湧水は健在。殿ヶ谷戸庭園の「ししおどし」


富士見緑地の湧水、東京農業試験場内の湧水は水量も多い。湧水池の小公園は立ち入り自由。


東豊田緑地の湧水は源流部にゴミが捨てられていて残念。車からのポイ捨てと地元の人は言っていました。崖線から落葉を巻きこんで流れる。最大の流出部の湧水はその名のとおり清流そのもの。


板橋不動の滝、水飛沫を避け滝に近づく。小豆沢公園の側溝に注ぐ湧水。崖の中腹からの湧水と、メインの池に注ぐ湧水。この公園は湧水の宝庫で「湧水群」を形成している。


池からの水路は洗い場があり農家の人たちの野菜洗いが行われている。湧き出し口の水は汲むこともできる。


千代鶴の中村酒造。白滝神社の湧水、水辺は冷えますが、絹の下帯(ヒートテックふんどし)をしているので暖かいのです。東京から見たダイヤモンド富士。


大谷戸公園の湧水、オレンジ色は地中の樹木のタンニンが溶けだしたものとか。この地点で別の谷戸からの流れと合流して「大谷戸の池」に注ぐ。この池から「大谷川」となる。竹藪から湧出する様はどこか神秘的ですらある。清水渓緑地の石組みの三段井戸はまだ湧水を湛え現役。


松連坂の入口の湧水、園内の湧水池「心字池」。園内の蝋梅と日本水仙は今が見ごろ。


峠に挑むスーパーあずさ。蛇滝口の高尾山麓に湧き出る清水。近くには名物の豆腐屋がある。高尾山の冬そばはとろろ蕎麦を食する。


蝋梅は見ごろ、梅もぼちぼち咲き始めた。心字池に注ぐ「頼義公手洗の井」。松連坂の湧水のひとつ沢からの流れと、坂に入口にある湧水の水場。


八雲神社の水路、手前左に湧水口が見える。隣の民家の湧水。二宮神社「お池」の隣の湧水。広済寺の湧水、石燈楼の下に井戸がある。


禅林寺の中里介山の墓所。羽村堰の取水口。一峰院の清水。お茶の水として利用されているという。