2016年11月の水の旅です

湧水名水探訪日記のバックナンバーはこちらです。

■片倉城址公園
11/3
11月に入って初めての湧水は、近くの散歩がてらに行ける片倉城址公園の湧水です。入口の湧水を集める池の縞には紅葉樹の大木がありますが、すでに紅葉が始まっていますが、この木の紅葉は見事です。湧水は水車のある奥の沢の湧水も、渇水期の水量です。急に少なくなりました。涵養域が少なくて浅いせいで雨の影響を受けやすいからでしょう。菖蒲田では係員が田圃の整地をしていました。斟珠寺の時田弁天池にも寄りましたが、ここもこれまでの水の勢いはなく平常通りの湧水に戻りました。秋の日はつるべ落としといいますが、夕方になると急に冷え込んできます。帰りの高尾山口からの準特急は行楽客で満員の状態でした。

民家の横井戸からの湧水。水車を回す奥の沢の湧水も少なくなってきた。時田弁天池とその源流の湧出口、ここも少なくなっていた。

■ハケの道散歩
11/7
　原稿に追われ三日間仕事場にカンヅメ状態だったので午後から散歩。私の定番コース、武蔵小金井から国分寺間の「ハケの道」を歩ぎました。先だって訪れた湧水がピークを過ぎ水量が急激に減っていたので心配していたのですが、ハケの道の湧水はまだまだ水量豊かでした。滄浪泉園の二か所の湧水も水量豊かで水路を流れ野川に注いでいました。一番気になっていた新次郎池もなんのなんのピークの水量を保っていました。堰を切って溢れる湧水、飛び石の見え具合でおおよその水量が分かるのです。国分寺から府中までバスに乗ると、秋の日はつるべ落としと言いますが、すっかり夕焼け空に染まっていました。

浪浪泉園の湧水は「激流」になって池に注いでいる。水琴窟で癒し。新次郎池の階段下の湧水は水量が多くなった。飛び石もほとんど水没状態、これでおおよその水量が分かる。

■都心、新宿区の名湧水
11/8
今日はいろいろ野暮用、入稿があるので午前中から都心へ。高田馬場で人に会って、ついでに東京の名湧水57選「おとめ山の湧水」を訪れました。ここは江戸時代から「落合の蛍」として知られる湧水の里でした。すぐ横を山手線が走る都会の中にあり、ここは谷戸の面影を残す公園になっています。現在も水量は少ないのですが湧き水は健在で、湧き水を利用した蛍も飼育しています。谷戸の奥の本湧水は水量は少ないものの、中の池と下の池の真ん中に架かる石橋の下から、水量豊かに湧きだす場所を見つけました。石の隙間からまわりが波立つくらいの湧水です。午後は築地に出て、出版社で入稿でした。

神田川を渡って行く。本流からの流れの水路。下の池の石橋の下には石の隙間から湧水が見られた。都会、都心の湧水に感激する。

■名湧水と撮り鉄
11/9
　午後から所要があって八王子へ。駅前で人に会って日高屋の「野菜たっぷりタンメン」でランチ。この後の時間はたっふりあるのでバスで豊田駅北口に行き黒川清流公園を散策しました。先日の大湧水は収まりほぼ正常な湧水量に戻りました。遊歩道を歩いていると歩道から湧き出した穴に足を取られました。紅葉はまだ少し早いようですが、どうも今年は色付きがよくないようで、このまま落葉すると思われます。すぐ近くの撮り鉄場所の通称「豊田の大カーブ」に行き40分ほど撮り鉄。秋の日差しがやわらかく電車や機関車を包みます。専門的な言い方をすれば車両の形式写真はばっちりです。いつもならここから南平まで歩くのですが、今日は北風が強く浅川の橋上は寒かろうと、日野台地の上のバス停に移動して日野駅経由で高幡不動に戻りました。

剣道場横の湧水、最大の池は豊富な水量で水路に流れていた。ハケの湧水が間近に見られる湧水と親水場。豊田の大カーブはきれいな鉄道写真が撮れる。

■忙中閑あり・・ハケの森美術館
11/16
　このところ新年1月末に刊行予定の鉄道本の追い込みでずーっと仕事場に閉じこもりっきりだったので、今日は天気も良さそうなので午後から散歩に出ました。府中から路線バスで武蔵小金井へ。ハケの道、中村研一美術館で「イギリスの近代風景画展」を鑑賞。アトリエの裏庭の東京の名湧水57選の湧水を見て、ハケの小路を歩いて金蔵院の紅葉を愛でて、秋の日はつるべ落としなので今日はこれでバスで戻りました。早めに戻ったお陰で高幡不動駅で京王電鉄のドクターイエローに遭遇。ラッキーでした。

ハケの森美術館、裏庭のハケの湧水と「ハケの小道」の流れ。金蔵院のモミジが色づく。高幡不動駅で京王のドクターイエローと遭遇。

■聖蹟桜ヶ丘の大谷戸
11/18
　多摩市聖蹟桜ヶ丘の都立桜丘公園は多摩丘陵の一部に公園があり、その麓は大規模な谷戸があり、その面影をとどめていて湧水も何か所か見られます。この谷戸は高度経済成長時代の団地造成のころ谷戸を埋め立てて宅地がされており、埋め立て地には大量の樹木がそのままになっていました。湧水はその末端から湧き出し地中の樹木のタンニンが湧水の場所にオレンジ色の流れが見られます。湧水は無色透明ですが水底にタンニンが溜まっているのです。この湧水個所から谷戸の地形は、聖蹟桜ヶ丘の多摩川あたりまで続いています。代表的な谷戸の風景が「大谷戸の池」と、清水渓緑地公園の石組による三段井戸です。整備はされていないのですが、素晴らしい光景です。ぜひ整備して谷戸の風景を再現してほしいと思います。

湧水口付近はタンニンが堆積している。谷戸の水路には洗い場が残る。谷戸の緑道は心地よい散策路。清水渓公園の三段石組井戸。この辺りは渓谷の様相を呈している。

■長距離路線バスで秋川へ
11/22
　ポカポカ陽気なので京王八王子駅から秋川駅行きの西東京バスに乗って世継地区の湧水巡りへ。50分の路線バスの旅で「油平」下車。すぐ前には「千代菊」の造り酒屋さんがあります。あきる野台地の地下水を仕込み水にして作る古い酒蔵です。酒の資料館もあり利き酒もできるとあって湧水巡りの前にちょっと一献。徒歩15分ほどで白滝神社に到達します。ハケからは大量の湧水が見られすぐ滝となって落下していますが、いつもここは霊気が漂う神聖な場所のようです。湧水は民家の裏庭に流れ、民家が洗いものの水として使用しています。歩いて5分の真城禅寺には本堂を挟んで左右のハケからの湧水が見られ、本堂の中庭の池に注いでいます。特に向かって左の湧水はまるでハケの湧水のジオラマをみているようです、砂礫層と不透粘土層の隙間から湧水が見られます。いい雰囲気の湧水でした。この真城禅寺は三春ザクラの枝分けした枝垂桜と茅葺屋根の鐘楼がみものです。この寺からJR秋川駅までは約20分、油平バス停までは約15分程度でしょう。

千代菊の中村酒造。台地上から見た世継地区。白滝神社の湧水、真城禅寺の湧水、もちろん飲めませんと書いているが・・、地層の隙間から湧出するサマはまるで湧水のジオラマを見ているよう。

湧水名水探訪日記のバックナンバー

Home
Contents
湧水名鑑

(C)Copyright:2003 Minami Masatoki All right reserved


民家の横井戸からの湧水。水車を回す奥の沢の湧水も少なくなってきた。時田弁天池とその源流の湧出口、ここも少なくなっていた。


浪浪泉園の湧水は「激流」になって池に注いでいる。水琴窟で癒し。新次郎池の階段下の湧水は水量が多くなった。飛び石もほとんど水没状態、これでおおよその水量が分かる。


神田川を渡って行く。本流からの流れの水路。下の池の石橋の下には石の隙間から湧水が見られた。都会、都心の湧水に感激する。


剣道場横の湧水、最大の池は豊富な水量で水路に流れていた。ハケの湧水が間近に見られる湧水と親水場。豊田の大カーブはきれいな鉄道写真が撮れる。


ハケの森美術館、裏庭のハケの湧水と「ハケの小道」の流れ。金蔵院のモミジが色づく。高幡不動駅で京王のドクターイエローと遭遇。


湧水口付近はタンニンが堆積している。谷戸の水路には洗い場が残る。谷戸の緑道は心地よい散策路。清水渓公園の三段石組井戸。この辺りは渓谷の様相を呈している。


千代菊の中村酒造。台地上から見た世継地区。白滝神社の湧水、真城禅寺の湧水、もちろん飲めませんと書いているが・・、地層の隙間から湧出するサマはまるで湧水のジオラマを見ているよう。