2016年7月の水の旅です

湧水名水探訪日記のバックナンバーはこちらです。

■一番近い名湧水
6/30
私の住まいから一番近い名湧水は、京王線の線路と川崎街道を越えた崖線にある東京の名湧水57選「小沢の滝」です。しかし、ここは立ち入りが禁止されていて公開されていません。水の流れは住宅地の側溝を覗くしかありません。ここから多摩方面へ100mあまりの百草山緑地の崖線には棚田があります。日野市の資料で調べたところ、この棚田は南側の百草山緑地からの湧水を貯水池に貯め、七枚（約一反）の棚田に配水する独特の仕組みになっています。この仕組みはこの地で耕作を始めた450 年以上前の江戸時代以前から続いており、地形や自然の恵みを生かしたものということです。湧水を集めた池は澄み切っていて、オーバーフローした水が水田に注がれています。湧水と水田の密接な関係が手に取るようにわかり、少しばかり感動を覚えました。この高台から線路越しに眺めると私の居住区域があります。鉄道もあり湧水もあるこんな環境に住める喜びを改めて感じた次第です。。

「小沢の滝」は立ち入り禁止。三沢の小さな棚田、しっかりと湧水が湧き出し蓄えられた池からは水田に注がれている。少し感動的な風景だ。

■南平の自噴井戸
7/2
　京王線平山城址公園駅から南平駅までの自噴水はかつてご報告しましたが、日野市の資料によると南平駅近くの民家にも何か所かの自噴井戸が現存しているようなので検証してきました。駅周辺の民家の自噴井戸は確認できたのは3か所、いずれも敷地内なので湧水は確認できませんが、用水(根田堀)に流入している流れを見ることができます。ここから少し離れた八幡神社の参道にも自噴井戸があり、こちらは湧水個所も確認でき、小さなパイプから流出しているので「水汲み」もできるようです。改めて、この付近には自噴水が多いことが分かりました。

民家の湧水が塀の外へ流出する。水舟がある民家の湧水は根田堀に注ぐ。八幡神社の自噴井戸は「汲める」様になっている。多磨の夕暮れは美しい。

■酷暑の八王子
7/4
　何も暑いのに八王子に行かなくていいのですが、ほかに用事があったので八王子へ。暑いです。地下から上がると猛暑の日差しです。バスで東京の名湧水57選のひとつ「叶谷の榎木湧水」に行きました。老木は倒壊を防ぐようにメンテナンスされ、きれいに整備されていました。この区間だけ見ると、どこか東北地方の田園に湧き出る清水のような雰囲気です。ここから坂を下ると泉町の湧水群があります。崖下から意外なほど水量豊かに湧き小川のせせらぎを作っているほどです。道は住宅地の路地で道に迷わないように注意が肝心。私はバス停までの道を迷ってうろうろ、あやうく熱中症一歩手前でした。運よく住宅地の中のコンビニにたどり着き事なきを得ました。

榎木の老木はしっかり守られている。桜の木の下の湧水。泉町の湧水は「湧水群」を形成している。散策には迷わないよう注意が必要。

■京王沿線には湧水が多い
7/5
　八王子の帰り、涼しいこともあって長沼で途中下車して谷戸の風景が残る都立長沼公園に行きました。大小の沢から湧水が流れています。最大は殿ヶ谷谷戸で、本流は麓の水田を潤すほどの水量です。しかし、すぐ近くまで新興住宅地は迫ってきていますが、水の力は強く、秋の豊作を約束してくれているかのようです。再び京王線に乗り東府中まで行きました。喫茶店で人に会って打ち合わせ事項を済ませてから南口から競馬場通りを歩き、段丘を伝って歩くと「御滝神社」があります。創建は600年前といわれ、ご神体は崖から落ちる滝です。今ではほんの一筋二筋の小さな流れですが、それでも水路を見るとはっきりと流れを見てとることができます。大ケヤキの神木も見事ですが、ここからのハケの道も風情があるものです。

長沼公園の谷戸の水田。殿ヶ谷谷戸からの湧水の流れ。御滝神社の「御滝」と、その流れの水路。神社の前は心地よいハケの道が続く。

■ミソハギが咲く鉄道沿線
7/6
　今日は午前中に府中で人に会って、それから東府中からバスで「ハケの道」散歩。貫井トンネル下バス停から野川沿いに貫井神社や新次郎池を巡りました。新次郎池はやはり湧水はほとんどゼロの状態で雨水が池に溜まっている状態でした。その後に西国分寺に行き、駅近くの東京の名湧水57選のひとつ「姿見の池」に行きました。この池は武蔵野線のトンネル内の湧水を汲み上げて池に放流しているもので、かつて豪雨の後の大湧水のため武蔵野線が全面ストップしたほどの湧き水で、汲み上げて水路に流したり池に流すことによってトンネル内の湧水は平常を保っています。この姿見の池の湿地帯には毎年7月になると「ミソハギ」が群生します。今年は例年より一週間ほど早く紫色の花が咲き始めました。ここ数年、毎年訪れて撮影しているのですが、年々群生は少なくなっているようで、原因は湿地帯の雑草にあると思われます。名水のほとりに咲く名花を守ってやりたい気分にさせられました。

貫井神社の境内を流れる湧水、新次郎池はご覧の通り枯渇状態が続いている。姿見の池とほとりのミソハギ、上を特急「かいじ」が走る。

7/11
平山城跡公園の湧水
　午後から散歩は京王片倉駅から片倉城址公園へのコースでした。この季節、丘陵地からの湧水は少なく水車小屋は乾燥していて、湧水は見られず奥の沢からの湧水は菖蒲田に流れ込む水路一本にまとめられていました。公園外
の民家の竹やぶの横井戸からの湧水は、水量変わらずここの流れは湧水池に流れ込んでいました。この水脈だけは他の湧水と異なっているようです。斟珠寺の時田弁天の湧水もしかりて、水量はこれまでになく少なく、関東は一雨も二雨もほしいところです。

民家の横井戸からの湧水はいつも変わらぬ風景。奥の沢からの湧水を集める水車は乾いていた。菖蒲田へ注ぐ奥の沢の湧水。時田弁天池の湧水も水量は乏しい。

7/12
青梅の湧水
　今日は別の取材が入り「青梅の昭和」と題して取材を受けることになり、カメラマンと青梅へ。写される方なので昭和ムードの衣装、白絣の着流しに夏の帽子といういでたち。青梅鉄道公園の昭和の機関車や車両、青梅の昭和の街並みでロケをして、お昼は創業120年の老舗の鰻をご馳走になりました。取材が終わり私は秋に刊行予定の「東京の名湧水」の追加取材で、都バスに乗り地蔵坂の横井戸に向かいました。ここはかつてよりさらに綺麗に整備され水量も多く良い雰囲気の水場になっていました。帰りに市内の湧水を訪れました。坂の下の湧く地域住民の清水で、横に電動ポンプの水道栓があり住民はここを利用しているようで、生活の水という実感を受けました。いい水場です。ここへは駅から徒歩10分弱です。

雑誌の取材を受け昭和レトロに浸る。地蔵坂の横井戸は良い雰囲気の湧水に整備されている。市内の道路下の湧水、生活の水の色合いが濃い。夜は梅雨空に束の間の上弦の月が・・。

■滄浪泉園
7/16
　午後から東府中から武蔵小金井南口行きのバスでハケの道へ。昨日の関東地方の豪雨の湧水への影響はまだまだ先ですが、湧水や水がめには恵みの雨になったようです。小金井警察署前で下車して東京の名湧水57選「滄浪泉園」に行きました。このシーズンは無料開放されています。しかし、ヤブ蚊が多いのでその対策は必要です。一応虫よけスプレーを持参して、事務所で団扇を貸してくれますが、それでも薄手の着物の上から刺してきます。案の定、豪雨の影響による湧水量の増加はまだまだ先で、細々と流れ出ている状態、園内を散歩して水琴窟で癒され、今日はその他の湧水を回らずに再びバスで東府中に戻りました。

滄浪泉園の雨上がりの湧水はしっとりとして良い感じ。そのうち湧水量は増えるでしょう。水琴窟に癒されました。

■名湧水の後は温泉銭湯
7/18
　相模原市で開催された鉄道情景写真展。最終日にお邪魔しました。後輩のカメラマンほかアマチュアの合同写真展。数日前、他の「撮り鉄」たちの「まとまりのない」鉄道写真展を見てきた後だけに、この写真展は懐かしくも鉄道写真の王道を行く息吹を感ずるアマチュアの皆さんの心意気を感じました。来年も頑張ってください。橋本からの帰路に「京王よみうりランド」で下車して東京の名湧水57選「穴澤天神社」のご神水に寄りました。おそらく都内では有数の水汲み場でしょう。ボク個人的には湧水を涵養する「山林」が、遊園地であったり新興住宅地であったりとどうも飲むのはためらいますが、一応水質検査はしてあるとのことです。夕方、桜上水まで出て温泉銭湯「月見の湯」で汗を流して夕泥む下高井戸にやって来ました。私のアニメ作品「初監督作品」と、そのスタッフたちの慰労会と祝いの会。今年の広島国際アニメーションフェスティバルで公式上映されることになったドキュメンタリー「荒井和五郎の影絵アニメーションの世界」(監督・南正時/制作・Jaa日本アニメーション協会・2013年度作品)の広島レポートをJaa事務局長の山中幸生さんから受けました。同作品のサポーター、スタッフの祝賀の呑み会。うれしい呑み会でした。

友人たちの写真展。穴澤天神社の湧水は人気、パワースポット、すぐ前の天神川と京王相模線。月見の湯は井戸水と温泉。夕泥む世田谷線の「玉電」色。

■「何やら・・」を締め直して
7/19
　朝、体重、血圧を測ったら体重が2kgオーバー、ここほぼ連日の宴席のカロリーオーバーと「とりビール」が影響しているようです。大いに反省。私の健康管理は食生活と適当な運動ですから、それに従い、今日の散歩は八王子に出たついでに「子安神社の湧水」に行きました。気持ちを入れ替え、引き締める「決意」の意味で元気印の「赤ふんどし」を締めてみました。これを身につければなんとなくシャンとするものです。進行中の秋刊行の「東京の名湧水」(仮題)の追加取材を兼ねています。ここの湧水は私は安心して飲んでいます。この季節の水分補給と涼を求める湧き水なのです。この時期には地元なの方ですが水汲みに訪れる人も多いようです。ここには京王八王子・JR八王子駅から「中野団地」行きバスで約15分、便利にアクセスできます。本日の歩行数は約6000歩でした。

子安神社の湧水は飲むとほのかに甘味を感ずる、この季節が冷たくて湧水量も多く一番おいしく感ずる。この透明度が素晴らしい。帰りの電車は京王電車のラッキーナンバー「7777」。この電車を見ればきっといいことありそう。

■鉄道湧水
7/24
　今日は、大変お世話になった鉄道雑誌の名編集長の一周忌法要。少し早めに都心に出て東十条で故人が好きだった北海道からやってくる貨物列車を追悼撮影。鉄道脇の小道にある荒幡不動尊にお参りして、一周忌開示用の根岸の古刹に行きました。ご家族とごく親しかった編集長の門下生によってしめやかに法要が執り行われました。この古刹は、上野不忍池、弁慶の井戸の上の本郷台にあり、手水舎には古井戸があり、今は電動ポンプにより地下水か豊富に流れています。故人も地下水、名水が喜ぶことでしょう。

北海道から上京した「弔問客」を荒幡不動前で迎える。北区役所から見た成増台、手前が名主の滝公園から赤羽方面。本郷台の古刹の古井戸。

■東京の名湧水
7/25
　急な刊行物を私が編集を担当した関係で、一年間発刊が遅れていた「東京の名湧水」(仮題)がようやく10月刊行に向けて編集再開。版元の編集長と聖蹟桜ヶ丘のステーキハウスでランチをしながら打ち合わせ。すでに本文、写真データーなどは入稿済なのでねこれから誌面作りのレイアウト作業に入ります。それとともに原稿の再検証のため再取材、校正作業が始まります。さっそく東府中に移動してハケの湧水を再検証。「浅間公園」に立ち寄りました。ここには「おみたらし」という小さな湧水がありますが、目的は「ムサシノカンゾウ」の群生。残念ながら盛りは過ぎて名残の花がポツリポツリと残っているだけでしたが、それでも楽しめました。バスで貫井神社に行きました。ハケの道湧水が水量が少ない状況でここの湧水は健在です。貫井プール跡の記念碑の横に手水が流れていますが、これは源流からパイプで直接引いたものです。新次郎池にも寄りました。このところの降雨にも関わらず枯渇状態。このまま梅雨が明け、台風が少ないとなると今シーズンの大湧水の眺めはほぼ絶望的です。石灯籠の横の道路下からの湧水はかろうじて流れを保っていたのが救いでした。池の周辺の雑木林にはキツネノカミソリの小さな群生地があります。

浅間公園の「おみたらし」と名残のムサシノカンゾウ。貫井神社の手水と貫井プール跡顕彰碑。新次郎池の石灯籠の湧水はかすかな流れ、池のほとりに咲くキツネノカミソリ。

■百草園湧水群
7/26
　私の住まいは京王線百草園－高幡不動間のやや百草園寄りにあります。気が向くと散歩を兼ねて高幡不動駅まで約15分を歩き特急に乗って都心に向かいます。一方の百草園は各停停車駅で駅前には居酒屋が一軒、コンビニが2軒、スーパーが一軒という閑散とした駅前です。ところがこの駅の川崎街道沿いの丘陵地帯は絶好の散策コースなのです。坂道が続くため多少きついところもありますが、それが歩きにはいいのです。百草園への道は胸突き八丁の旧松連坂を登ります、この坂が大変なんです。川崎街道からの松連坂には各所に湧水が見られます。坂を登った京王百草園の心字池も湧水による池です。麓には小さい棚田もあり、湧水を利用して稲作が行われています。ざっと数か所、規模は小さいですが、新しい湧水を発見する楽しさがあります。百草園では梅まつりなどの季節には高幡不動か聖蹟桜ヶ丘から「京王タクシー」を勧めています。京王タクシーの領収書を持参すれば園内で甘酒が二杯サービスされます。お気に止めておいてください。今日はこの丘陵をのんびり歩きました。私好みの湧き水があり、自然豊かな谷戸の風景が残っています。しかし、雨が降ってきたので慌てて目的の百円ショップに寄って帰宅しました。目標の半分を歩いただけでした。

駅から百草園までの道すがらは里山と谷戸の湧水が健在、松蓮坂の湧水と石垣から流れる湧水、松蓮坂の崖からは湧水が見られる。

■ママ下湧水
7/27
　我が家からも直線距離にして至近距離あるママ下湧水は自転車で15分、電車だと南武線乗り換えの大回りですが、このところ自転車通いです。この季節は地元の子供たちが水遊びでにぎわっています。訪れたときは夕方とあって帰路につく子供たちが多く、湧水は静けさを取り戻しました。ほかの湧水が水量減少の中、この湧水はますます水量盛んで溢れるように湧き出しています。この水脈はどこから来ているのでしょうか?興味あるところです。

相変わらずの水量を誇るママ下湧水。湧水の風景は大きく変化したが、一部の青柳段丘は美しい姿をとどめている。

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「小沢の滝」は立ち入り禁止。三沢の小さな棚田、しっかりと湧水が湧き出し蓄えられた池からは水田に注がれている。少し感動的な風景だ。


民家の湧水が塀の外へ流出する。水舟がある民家の湧水は根田堀に注ぐ。八幡神社の自噴井戸は「汲める」様になっている。多磨の夕暮れは美しい。


榎木の老木はしっかり守られている。桜の木の下の湧水。泉町の湧水は「湧水群」を形成している。散策には迷わないよう注意が必要。


長沼公園の谷戸の水田。殿ヶ谷谷戸からの湧水の流れ。御滝神社の「御滝」と、その流れの水路。神社の前は心地よいハケの道が続く。


貫井神社の境内を流れる湧水、新次郎池はご覧の通り枯渇状態が続いている。姿見の池とほとりのミソハギ、上を特急「かいじ」が走る。


民家の横井戸からの湧水はいつも変わらぬ風景。奥の沢からの湧水を集める水車は乾いていた。菖蒲田へ注ぐ奥の沢の湧水。時田弁天池の湧水も水量は乏しい。


雑誌の取材を受け昭和レトロに浸る。地蔵坂の横井戸は良い雰囲気の湧水に整備されている。市内の道路下の湧水、生活の水の色合いが濃い。夜は梅雨空に束の間の上弦の月が・・。


滄浪泉園の雨上がりの湧水はしっとりとして良い感じ。そのうち湧水量は増えるでしょう。水琴窟に癒されました。


友人たちの写真展。穴澤天神社の湧水は人気、パワースポット、すぐ前の天神川と京王相模線。月見の湯は井戸水と温泉。夕泥む世田谷線の「玉電」色。


子安神社の湧水は飲むとほのかに甘味を感ずる、この季節が冷たくて湧水量も多く一番おいしく感ずる。この透明度が素晴らしい。帰りの電車は京王電車のラッキーナンバー「7777」。この電車を見ればきっといいことありそう。


北海道から上京した「弔問客」を荒幡不動前で迎える。北区役所から見た成増台、手前が名主の滝公園から赤羽方面。本郷台の古刹の古井戸。


浅間公園の「おみたらし」と名残のムサシノカンゾウ。貫井神社の手水と貫井プール跡顕彰碑。新次郎池の石灯籠の湧水はかすかな流れ、池のほとりに咲くキツネノカミソリ。


駅から百草園までの道すがらは里山と谷戸の湧水が健在、松蓮坂の湧水と石垣から流れる湧水、松蓮坂の崖からは湧水が見られる。


相変わらずの水量を誇るママ下湧水。湧水の風景は大きく変化したが、一部の青柳段丘は美しい姿をとどめている。